国鉄色の頃
〜北も南もツートンだった〜



何とか本線も、短距離の盲腸線も、非電化路線を縦横無尽に駆け抜けていた。

客車や電車のような静けさはなく、ガラガラガラ・・・とエンジンを回して客を待つ。
ホームから一段高くなっている、薄緑色したデッキに乗り込み、
向かい合わせの青いモケットに腰を下ろす。

所在なさげに車窓を見れば、弁当売りが行ったり来たり。
「よかったら食べなさい。」
向かいの席からおばちゃんがミカンをひとつ。

やがてエンジンの唸りが高くなり、気動車はゆっくり走り出す。





【さいはて旅情】

北緯45度21分33秒、東経141度39分47秒あたり。
北海道の北の北にも幸せな暮らしがある。
日本海からの夕陽と秋風を受けて、急行「宗谷」は最北の街をめざす。

‘87.9 宗谷本線 抜海〜南稚内


















【利尻を眺め】

爽やかな夏の朝!
旅のはじまりは、穏やかな青い海の向こうに利尻富士。
これから原野を、大河を、コニファーフォレストの峠を越えて、急行「宗谷」は北の都へ。

‘74.7 宗谷本線 南稚内〜抜海


















【霧氷の朝】

キーンと凍れる朝だった。
靄がだんだんと晴れ始め、白い樹間からやってきたのは急行「大雪」
静かな世界に軽いエンジン音を残して、あっというまに峠を駆け下りていった。

‘75.3 石北本線 常紋〜金華


















【終着駅の先は】

なんのあてもなく、蒸機を撮るわけでもなく、かといって旅に飽きたわけでもなく。
終着駅の先は東大雪連山が聳えるだけの、木の匂いのする小さな駅だった。
古い気動車の暖かさとエンジンの音が心地よい眠りをくれた、今はなき士幌線。

’75.3 士幌線 十勝三股


















【日常の風景】

別に何の変哲もないいつもの光景。
列車は時間どおりに通勤通学の客を運ぶだけの道具。
これが30年前の日常の風景。

‘74.7 室蘭本線 苫小牧(かな?)


















【キハユニ】

ローカル線って何だ・・・?
過疎の村を繋いで数少ない客を乗せ、日に数本しか走らない列車?
だったら、客も郵便も荷物も一緒に運んでしまえ、で、キハユニ。

‘74.5 只見線 西若松〜会津本郷


















【南国の冬陽】

みちのくの出世列車は急行「津軽」、南国のハネムーン列車は急行「日南」
蒸気機関車がグリーン車や寝台車を連ねて「日南3号」を牽いていた頃、
その前座でやってきたのが地域の足、ローカル気動車。

‘74.1 日豊本線 田野〜青井岳


















【雪あかりのホームで】

朝、小牛田から陸前古川まで蒸気機関車の牽く列車に乗り、
昼、鳴子でいつ来るかわからぬC58貨物を待って足を濡らし、
暮れた新庄で陸羽西線の最終列車に乗り継ぎ、父の故郷・庄内へ。

‘73.1 陸羽西線 新庄




それぞれの故郷、脇役だった気動車。
あなたの故郷は元気ですか?

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